別ブログもやっております! 50年間の役目を終えた「長岡市厚生会館」! その静かなる有終の日々…
「MOANIN' 長岡市厚生会館」

Monday, June 30, 2008

Enveloped within Arata ISOZAKI's space


 6月22日(日) 改修工事を終えリニューアルオープンした、群馬県立近代美術館の 『磯崎新 七つの美術空間』 を見てきた。私がこの美術館に来るのは10年ぶり・2度目である。今回の改修はかなり大規模で、アスベスト撤去と共に、照明計画を中心に展示空間の大幅な更新が行われたようだ。


 建物の設計コンセプトは 「美術館とは世界中を流動している作品の仮泊の場にすぎない」 「アートを内包するための空洞としての美術館」 ということで、つまり 「ホワイトキューブに徹している」 と理解できる。実際に展示室に入ると、天井が高い大空間で白い壁に囲まれ、ホワイトキューブに身を置いていることが実感できる。
 しかしなぜだか、展示室の空間自体がここち良く感じられるのだ。単に白いだけの大空間ではない。


 私は金沢21世紀美術館のことを思い出していた。金沢は、点在する大小さまざまの展示空間を巨大な円形のロビーで統合することで成り立っている。その構成が画期的なわけだが、展示室自体は、純度がたいへん高いホワイトキューブである。たしか部屋のプロポーションはキュレーター側の要求により決まり、照明計画は自然光を取り入れた光天井で、天井一面が均質に明るく、どこにいてもフラットな印象の部屋だったように記憶している。


 群馬の展示室は、気積も金沢とわりと似た印象で、白い空間ということも共通している。しかし私にとっては、金沢の展示室内では感じることの無かった 「大空間のここち良さ」 があった。
 それはなぜかと言うと、部屋ごとにトップライトやハイサイドライトが工夫されていて光にメリハリがあることと、大空間の要素である梁や柱が金沢の展示室内のように隠蔽されきっておらず、部分的に露出していることに理由があるように思った。あの大空間を体験するためだけにまた訪れてもいい気がする。空間の魅力としては、コンテンポラリーな金沢より、30年前に生まれた骨格が改修により再構成された群馬の展示室のほうから、学ぶことが多かったかもしれない。


※展示室内の様子は 『ギャラリー ときの忘れもの』 のブログのリポートを参照してみてください。こちら